ホーム 芸人プロフィール 大道芸人インタビュー Mr.アパッチ 【前編】

大道芸人インタビュー Mr.アパッチ 【前編】

大阪市出身。テレビ東京の番組「TVチャンピオン・ジャグラー王選手権」初代優勝者として、日本でジャグリングブームに火をつけた第1人者。16歳からBMX(自転車)を始め、コンテスト優勝をきっかけにイベント活動を行う。以後、ミュージカル、サーカスなど多岐ジャンルに表現活動の場を求め、1年間上海雑技団に留学。当初ダイナミックなBMXパフォーマンスに“ストーリー性“を盛り込んだショースタイルを展開していたが、現在はさらに“笑い”とハイレベルなテクニックで人気を集める。2009年7月から横浜大道芸に参入。

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楽しんでいる“人”を見て“人”同士が楽しい。大道芸とはみんなの“楽”を結ぶ空間。 Mr.アパッチさん
楽しんでいる“人”を見て“人”同士が楽しい。大道芸とはみんなの“楽”を結ぶ空間。

イベントはある程度のブランド力、そして高度な技術がないと呼ばれにくい所もある

—大道芸の道に入ろうと思ったきっかけは?

率直にいうと、不況でイベントに呼んでもらえる数が減ったんです。
それで、景気に影響されて“芸”ができない自分の状況を見つめ直しました。ライフワークってなんだろう?って。
イベントがあるなしに関係なく、“楽”を求めてくれる人がいればそこで芸をする。それこそ自分が練習してきた意味があるんじゃないかと…。
大道芸は、イベントでパフォーマンスをすること以上に直接“人”の感情に触れることができる。僕の人生観にも大きな刺激を与えてくれています。

—以前は自分でイベントの企画もされていたと聞きました。

学校を卒業してすぐに、インラインスケーター、スケートボーダー、DJ、ラッパーの友人たちとユニットを組んで、自分で作った企画書を大手代理店に持ち込み営業活動をやってました。1日5件くらい、電通、博報堂、大広、関西の代理店はほとんど回りました。いきなりジーンズ姿で企画書持って「おれたちを使わない? 」みたいな(笑)。その後スーツで回りましたけどね。

—イベント活動を通して、現在のパフォーマンススタイルが確立されたのですか?

現在のスタイルは大道芸を始めてからですね。イベントに呼んでもらっている時は、技を中心にショー構成をしていました。
僕らの時代は情報がほとんどなく試行錯誤のくり返し。1つの技を体得するのに今より数倍の時間がかかったんです。
余談ですが、情報が多い昨今は僕も何か練習すると短期間で習得できたりします。情報様様ですね!(笑)
話を戻しますけど…、大道芸で大事なのは“盛り上げ”“雰囲気”。僕は“空気芸”と呼んでいます。
たとえば、イベントでジャグラーという肩書きでショーをしていて、大道芸でも同じようにショーする時、その“ジャグラー”という職人の肩書きに苦しめられるんです。わかりやすく言うと、大道芸でいきなりジャグリングの技を始めても、誰も立ち止まらず、見てもらえなかったりします。その時に小ネタをしたりおしゃべりしたりすると、人が集まってくる。“空気芸”が大事なんです。ジャグリングじゃないことをしないといけない。それが引き出しにもなるんです。
まず肩書きを捨てる勇気・恥をかく勇気が必要ですね。現在はその勇気を得たパフォーマンススタイルです。

撮影・綾部

イベントと大道芸、芸は同じでも背負うものが違う。

—イベントと大道芸、その違いは何ですか?

イベントは、それを主催する企業のイメージ、看板を背負って立つので、限られた中で最高のパフォーマンスを発揮することが自分の責任。でも大道芸は、ひとり看板。極端な話、裸で踊ろうが下ネタ全開だろうが(笑)、何をやってもいい。その代わり、それで人が集まらない、投げ銭が入らない、すべてが自己責任。さらにイベントだと「自転車&ジャグリングのアパッチさんです!」となると、マジックとかそんな勝手なことはできないわけです。でも大道芸だと、お客さんのノリやその場の空気で、やったことないけど歌うことだって挑戦できる。イベントは大きな脱線は許されないけど、大道芸はその脱線やハプニングからまた何かが生み出せる。その自由さが、全然違いますね。

歩んできた人生観をパフォーマンスで表現したい。

—アパッチさん自身が追求したい独自のパフォーマンスとは?

現在はダイナミックなアクションと技、そこに、“笑い”を取り入れるのが自分のカラーですが、今後は自分が歩んできた人生観をパフォーマンスの中で表現できたらいいと思ってます。
また余談ですが、芸を深めるのはどこかしら“孤独感”が必要だと思ってるんです。技を練習している時はひとりです。だからこそ、技がうまくなれる。結局は“個”のあり方なんじゃないかなって。周りの出来事と自分の芸との関わりをさがす作業。その“孤独感”があるから人と触れ合いたくなる、そして楽しさの中にも”人生感”がにじむそんな芸をしたいですね。

—ご自身のパフォーマンス世界を広げるために、心がけていることはありますか?

いろんなことに興味を持つこと。たくさんショーをすること。そして多くの人と触れ合うこと。今は毎日ショーをして、300人くらいの人と出会い、芸を見てもらっています。
すべての人とは触れ合えなくても、その場に時代の潮流が見えたりします。その変化に自分を合わせていくことも心がけていきたいと思ってます。




後編につづきます。


取材・魚見 幸代 文・多川 麗津子 写真・木村 綾


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