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大道芸人インタビュー ハンガーマン 【前編】

愛知県出身。この世にハンガーマンがいる限り大道芸は不滅です。世界中をかけめぐり、世界中を笑いの渦に落し込む男、それがハンガーマン。クラウンカレッジジャパン第一期卒業。96年に初代「ハンガーマン」襲名。その後ヨーロッパで毎年夏、大道芸生活を送る。現在は横浜、東京、大阪等のストリートで活躍中。

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大道芸人インタビュー ハンガーマン 【前編】
【前篇】お客さんの笑いこそ、大道芸の魅力。

なんとかなるんじゃないか、と始めた大道芸。

─ハンガーマンさんが大道芸人としてスタートしたきっかけは?

某有名劇団に4年くらい所属して演劇をやっていたのですが、限界…というか、食べていけない、バイトもあきたし、そろそろやめようかなと思った頃に、雑誌で『クラウンカレッジ』の募集を見つけたんです。
芝居の練習でクラウニングの勉強もちょっとしてたこともあって、おもしろそうっていうよりは、なんとかなるんじゃないかなって。
それが大道芸を始めたきっかけですね。

僕はクラウンカレッジ一期生。一期生は特に変なのがおおかった(笑)いい意味でですけどね。
授業は9~12月の4か月のみでおしまい。
次の年に花博という大阪の万博があったんです。
クラウンカレッジの一期生はその養成も兼ねた学校だったんで、卒業してから6月くらいまでは万博の仕事。
で、それが終わって、一気に野に放たれて。さてどうしようかな、と。

本格的にストリートで大道芸をはじめたのはその次の年くらいからです。
最初はまだゆるかったころの上野公園や銀座の歩行者天国でやってました。ほかにもいろいろやっていましたが、上野と銀座は特にやりやすかったですね。

─ハンガーマンさんのショーはどのように作っていったのですか?

技術面はクラウンカレッジで学びましたが、構成は自分で考えました。
というのも、まだ参考にできるほど芸人がいなかったんです。
クラウンカレッジの一期生である僕らが、ある意味日本の大道芸人のスタートだったんで。

クラウンカレッジを卒業して、芸人がわーっと広まってって。ジャグリングや風船芸を広めたのも僕たち。もともとやられている方々もいたと思いますが、大々的に広がったのはクラウンカレッジが来てからだったから。

なので、僕が始めたころは、ほかの大道芸はほとんど参考にしなかったですね。
てきとーに、その場の感覚で(笑)

芸の練習は、友人が区民会館みたいな広いホールを借りたら便乗して一緒に練習をしたりとか。でも最近はめっきり減りましたね。年齢的に(笑)
まあ、練習しなくても今のレベルは保ててるので…。うーん、ダメですね。

あ、でも、誤解されるといけないのでちゃんとお伝えしますが、最初のころは一生懸命やりましたよ。
1日、ぶっ続けで4時間。1時間やって5分休んで、また1時間って。でも週2~3日ですけど。…それ以上やると疲れちゃうんです。

僕は4種類しか芸をやってないんです。ラケットと、ディアボロと、ローラーのバランス技と一輪車。
この4種類を1つの芸につき1時間、それで4時間一生懸命やってましたね。
ほかのことは一切練習していないんで普通に下手なんです、クラブジャグリングは(笑)

しゃべりは経験を増やすごとにうまくなってきましたけど。

─新しい芸を追及したりとか?

僕の芸はいっさい変わりません。今やってることが楽しいんだもん。
今のショーは、やってても楽しい、お客さんも楽しい。だから変える必要はないんです。だってハンガー使ってる人ってちょっと変で面白いでしょ。変えちゃうとまたやりなおしになっちゃうし。そこまで才能はないです(笑)

現実にいたら怖いんじゃないかというくらいのぶっ飛んだのエンターテイメントが好きなんです。

─体に気を付けてることとかはありますか?

朝はだいたい7時に起きてます。まあだんだん難しいんですけどね。目覚ましが鳴っても体は寝てるっていう(笑)
大道芸やるときはだいたい12時ごろから始めるのですが、そのときだけ7時に起きるっていうと体がどうしてもおかしいんです。
5~6時間前には体を起こしておかないと。なので規則正しくしておくようにはしています。

食べるものは適当ですよ。野菜をとってくださいって言われましたけどね、人間ドックにいったら。もうちょっと野菜食べたほうがいいよって。

体というよりは、感性を磨くように心がけています。
大道芸だけじゃなく、芝居や映画、テレビのお笑い、落語などのエンターテイメントについては積極的に見に行ってます。
具体的な“何か”じゃなくて、感覚で感性で、吸収していきたいですね。

エンターテイメントでは、別世界にいるものにおもしろみを感じます。
現実にいたら怖いんじゃないかというくらいのぶっ飛んだの。
演じてるんじゃなく、素の部分が出ているものであればあるほど面白く感じるんです。
でも実際まわりにいたら怖いでしょうね。僕もそう思われていたりして(笑)

今は落語にまたハマっててよく見に行きます。
大道芸に似てるんですよ、お客さんを楽しむっていう点ではサービス業だし、僕もしゃべりますし。
春風亭昇太さんは、最高におもしろいですよ。ぼくと同い年なんです(笑)



自分も楽しいし、みんなも楽しくなる。そして収入もある。このバランスがいいんですよね。

─“ハンガーマン”としてのキャラクターの演じ分けはしていますか?

演じ分けはしていないです。ここでこういうキャラクターで見せようってやったら、なんていうか恥ずかしくなっちゃう。

台本みたいなものはあるんですが、自分の感覚というか本質的なものが見えるからお客さんは楽しいと思ってくれる。
クラウンカレッジのみんなとも言ってるんですが、人間性が垣間見えるからエンターテイメントとして楽しいんだろうって。
だからしゃべる芸って人間性があるから、僕にとっては面白いし好きなんです。
大道芸もそういう目で見てくれるとうれしいですね。

─ずばり大道芸の魅力は?

お客さんの笑いです。
僕はお笑いがすきなんで。もともと芝居やってたときも笑いを取る芸だったんです。
お客さんのリアクションがあるからこそですよね。

あとはバランス。
自分も楽しいし、みんなも楽しくなる。そして収入もある。
このバランスがいいんですよね。
稼げるから楽しい。
収入がなかったら、リアクションがあっても続かなかったと思います。



後編につづきます。

取材・文・写真/木村 綾


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