大道芸人インタビュー チョコ摩訶サーカス 【後編】
─これまでソロでたくさんの活動をされてきたお二人ですが、コンビのよさは?
たび彦 |
僕たちは、それこそ40年間、それぞれずーっとやってきてるでしょ。 そりゃ若いときはいろいろ作品が産まれてくるじゃないですか。でもだんだんやってくうちにどんどん削られていくんですよね。 そうやって削っていくうちに、その人そのものの作品ができていくんだけど、例えばそれが完成された芸だったとしても、でもアンサンブルでやるともっと広がるんですよ。 |
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たび彦 |
一人のときは背伸びしたって、たかがしれてるんですよ。 でもふたりでやるとまた違ったものがみえてくるんだよね。 だけど、アンサンブルはお互いやっててうまく機能すればいいけど、どっかでうまくいかなくなることもあるからね。だいたいコンビってどっかで分解してまた違う人と組んでってその繰り返しだから。 お笑い芸人とかもそうでしょ?だいたいのコンビっていうのは仲悪いからね(笑)でも仲が悪いほうがいいものができるんですよ。 |
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─お二人はどうなんですか(笑)
たび彦 |
もう少し若かったらまた違うのかもしれないけど、歳取ってくるともうどっちでもいいんだよね(笑) カムちゃんの方がちょっとだけ年上だから、遠慮したいんだけど、遠慮するとなんか変じゃない。あまり遠慮すると大変なのよ。 だから言いたいこといって、やりたいことやってって、ってやってかないと、ずっと気を使いっぱなしになっちゃうから大変だよ。 |
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─チョコ摩訶サーカスはどのようにして結成したんですか?
カム | 6~7年前に、どっちからともなく「やってみようか」ってことで“チョコ摩訶サーカス”を結成したんだよね。 |
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たび彦 | 最初はイベントの為に結成して、でもイベントではこれまで二人でやったのって数えるほどしかないよね。 |
カム | 最近は地震や不況でイベントの仕事が少なくなったでしょ。 |
たび彦 |
コンビだと、ギャラも顎足代も二人だと2倍になっちゃうじゃない。 でもステージは1回だから、景気がいいときは呼んでもらえるんだけど今みたいな時だとやっぱり厳しいよね。 |
カム |
最初は、「あいつ還暦だから、もういいだろ」ってことで呼んでもらえないのかな、と思ってたんだよ。でもそうじゃなかったみたい(笑) イベントの仕事もほとんどないから、それじゃあ大道芸やろうか、ってことで今年の5月からヨコハマで大道芸をはじめたんだよね。 |
カム |
大道芸は大変だよね、だってイベントはやればお金になるけど、大道芸だと必死にお客さん集めないといけないじゃない。 投げ銭も半分こだからね。二人でわけても、ひとりの時より多いようにがんばらなきゃいけないしね(笑) 慣れてる人はほんとうまいもんね。観てて分かるよ。 我々まだ5月からしか初めてないから、まだそんなにコツを掴んでいるわけでもないし、日々勉強だよ。 |
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たび彦 |
やっぱり僕らもいい年だからねえ。どこまで続くんだろうね(笑) 僕はカムちゃんが頑張っていく限りは頑張るよ。 だって一番歳上だからねえ。しかもアクロバットだよ。他に60歳で誰ができるのよ、逆立ちしたり飛んでったりとか、ねえ。 |
たび彦 |
やっぱりね、思うんだけど、僕らは普通であってはだめなんだよね。見る人が普通なわけじゃない。 普通の人たちが観るものが普通だったら見る必要ってないんですよ。 変わってると、みんななんだろうって思って見るでしょ。 何かが違うと、見る目がかわったり体験することが変わってきていろんなモノが産まれてくる。 だからね、「みんながこうだから、自分もこう」っていうのはだめだよ。 変っていっても、非常識であったりするわけじゃないよ。 |
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─今後の予定は?
たび彦 |
一昨年、バンコクのフェスティバルに参加したことがあるんですよ。 ストリートショー in Bangkokっていうイベントなんだけど、この写真見て。すごい人でしょ。 |
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たび彦 |
投げ銭、お札ですごい分厚くもらえちゃってね。すごいよねほんと。 帰ってからホテルでお札並べて、数えるんだよ。 |
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カム | でもバーツだからね。このお札、千円札だったら最高だよね(笑) |
たび彦 | 今年も12月にいくんだけど、楽しみだねえ。 |
カム |
でも、俺はいやだっていったんだよ。 だって荷物いっぱい持ってかなきゃいけないじゃない(笑) |
チョコ摩訶サーカス(ジャグリング)
アクロバットのカム有田とチャップリン芸のたび彦がユニットを組んで展開する。 神妙な面持ちで黙々とバランス芸に取り組むカムさんと横から始終じゃまをするたびさんのでこぼこコンビが可笑しい。年齢を問わず楽しめるショーはすべてパントマイムで演じられ言葉の壁も無い。コミカルで心温まる小さなサーカスショー。大道でもホテルのパーティー、学校公演など演じる場所を問わない。
アクロバットのカム有田とチャップリン芸のたび彦がユニットを組んで展開する。 神妙な面持ちで黙々とバランス芸に取り組むカムさんと横から始終じゃまをするたびさんのでこぼこコンビが可笑しい。年齢を問わず楽しめるショーはすべてパントマイムで演じられ言葉の壁も無い。コミカルで心温まる小さなサーカスショー。大道でもホテルのパーティー、学校公演など演じる場所を問わない。
次回(9月1日更新予定)のインタビューは、オペラ座の道化師みぎわさんです。
お楽しみに!
取材・文・写真/木村 綾
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