大道芸人インタビュー 奥田優子 【後編】

日焼けがいやなんです。夏になるたびに、「うわぁ~いやな季節になった~」って(笑)

─女性芸人さんとしてやっていくことについて何かありますか?

「女性でジャグリングやってる人って少ないし、珍しいし、見たこと無いんです。だから大変でしょう~」とか「すごいですね~」って言われたりする事があるんですけど、全然そんなことないです(笑)

「女性だから」とか気にしてたら、色々やってこれてないですし。

あ、でも、日焼けはすっごい抵抗があるんです。
もともと地黒なんですぐに吸収しちゃうんで、本当に日焼けはイヤ。
20代の時は日焼け嫌だなあって思っても、あんまり気にしてなかったんですけど、今はもう、皮膚にヤバいっていうかマズいんじゃないかって。深刻な問題なんですよ、日焼けは敵です!

でもそんなこと言ってたらこの仕事なんてできないじゃないですか。外でやる仕事だし。
だから日焼け止めを塗りたくってやってます(笑)

あとは熱中症ですよね。去年の夏は本当に猛暑で、倒れるんじゃないかって言うことが何回もありましたから。
夏になるたびに、「うわぁ~いやな季節になった~」って。
ほんとに、芸がどうのこうの言ってる場合じゃないんですよ(笑)

─大道芸以外の活動などはありますか?

舞台は、昔若い時にクラウンで舞台に出たりしてたことはありましたけど、大道芸やってからは舞台に出たりはしていないですね。
大きなミュージカルに誘われて、ちょろっと出るとかはありましたけど、自分たちで自主公演をやったり、とかはないですね。舞台は興味はあるんですけど、多分やっぱりものすごい大変だろうな、って思ってなかなかやれないんです。

だから舞台をやってる人を見るとすごいなあって思うんです。本当にこだわりがあって、自分たちがやりたいことを形にしている人たちじゃないですか。芸にストイックな。
だから尊敬しますね、本当。

最近は、海外に行ってる人も多いですよね。
私は、昔、イベントで呼んでもらってシンガポールに行ったくらいで。
相当昔ですよ、もう。10年くらい前ですかね。それ以外はほとんど国内での活動なんです。

海外のお仕事の話もちょくちょくあるんですけど、なかなか、言葉の壁とかいろいろ考えるとなかなか行く勇気もなくて。

しゃべらなくても魅せられる芸があれば積極的に海外に行くんでしょうけど、私の場合そういう感じじゃないんで国内に留まってしまうんです(笑)

順風満帆とは言わないけど、周りの人に支えられ、影響をうけながらもちゃんとできてきてた。

─奥田さんが影響をうけた人や事などはありますか?

今回の震災もそうなんですが、例えば「ヨコハマがもう使えなくなりました」みたいな、“なにかあってもう仕事ができない状況”になるのは怖いです。
自分が病気になるのもそう。腰痛とか、病気とかケガとか。
私、結婚していないので、「そうなったとき私はどうするんだろう」っていう恐れみたいなものはいつも持ってるんです。

でも、真剣にいろいろ考えてて「これだ!」って思って生きるってタイプじゃないんですよね、私。
どっちかっていうと流れに身をまかせるっていうか。

私、すぐに人の影響をうけちゃうんですよ。
いろんなジャンルの人とか、自分よりもものすごく若い人とかでも、会って話をするとすぐ影響をうけちゃうんですよね。
「あ、この人すごいな」とか「こういう自分にない考えがあるって面白いな」とか。

なんにも考えないで、その場その場の出会いだったり人の影響をうけながら、自分が行きたい方向に進んできたら、気づいたらこの道に着ていたんですよね。

大道芸も順風満帆とは言わないけど、周りの人に支えられながら、いろんな人に影響をうけながらもちゃんとできてきてた。だから、ほんとうに周りの人に感謝してます。
自分は幸せかもしれないな。

自分ってそういう生き方が合ってるんでしょうね。

もし横浜にこなくなったら、やっぱり寂しくなると思う。だって、15年以上通ってる職場ですから。

─これからチャレンジしたいことはありますか?

今自分ができることを、いかにちゃんと維持していけるかどうか、これがチャレンジですね。
本当に、この歳までやっていられるなんて本当に思ってなかったんですよ。
あ、でも周りの芸人さんもねえ。気づけばみんなもう結構年齢高いんですけどね(笑)

いかにケガや病気をしないで、「年齢に見えない」って言われるくらいのことができるか、やっていけるのか。
自分自身がチャレンジですよね。

私の芸を楽しみに見に来てくださる方がひとりでもいてくださるなら、その方のためにがんばらないとって思います。
よくお声をかけてくださる方は、若い人よりも、私よりも年上の女性の方が多いんです。
それこそ、60代以上の方が「励みになります」とか「元気もらえるんです。私も頑張ろうと思えるんです」と言ってくださると、その言葉だけで「辞めなくてよかったなあ、もうちょっと頑張れるところまで頑張ろうって」って。

みなさんの言葉が一番の励みになってるんです。

─最後に、奥田さんにとっての横浜とは?

横浜がなかったらこれまで仕事が成り立ってないので、横浜サマサマ、ですよ(笑)

私の中で、昔は横浜っていうとデートとか観光地、ってイメージだったんです。大道芸をやる前はよく遊びにきたりもしてたんですが、横浜で仕事をするようになってからは「職場」になっちゃったので、プライベートでは一切来なくなりましたね。

でも今日、大道芸の仕事以外で横浜にきて、改めて横浜ってやっぱりいいなあって思いました。
横浜住むのもいいなあって思いましたもん。
(※この日、インタビューを象の鼻パークで行いました)

もし、いつか大道芸を辞めて横浜にこなくなったとしたら、やっぱり寂しくなっちゃうと思う。
だって、15年以上通ってる職場ですから。

奥田優子(ジャグリング)
福岡県出身。クラウンカレッジ三期卒業生。明るくキュートなジャグリングは、常に観客の笑顔を誘っている。ヨコハマ大道芸では主にグランモール広場にてショーを行っている。同じジャグリングの川原彰と共にショーを行うことが多く、奥田・川原ペアは根強いファンが多い。
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次回インタビューはまろさん(予定)です。公開は7/1を予定しています。お楽しみに!

取材・文・写真/木村 綾